
工場排水は、もっとリサイクルできる!
浄化処理水の河川放流ゼロを実現する「水循環システム」誕生
<前半>
2017年にリニューアルしたTOTO小倉第二工場。水栓金具の製造を主に行うこの工場で、めっき工程における排水を完全リサイクルする「水循環システム」が新たに設けられました。背景にあったのは、「TOTOグローバル環境ビジョン」の実現という目標。一体どのような仕組みで、どのように排水をリサイクルしているのでしょうか。めっき工程全般のリニューアルを担当したお二人に詳しくお聞きしました。

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2002年TOTO株式会社入社
水栓技術部に所属し、1年半解析業務を経験後、現在まで約15年間、表面処理技術開発に従事。表面処理(めっき・塗装など)に関する技術開発、現場立ち上げ、国内外G会社の支援/指導、新規メーカー開拓等を実施。 -
2008年表面処理TLとして事業部内外の表面処理関連の課題解決に取り組んでいる。

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2012年TOTO株式会社入社
5年間水栓技術部に所属し、主に表面処理の技術開発を担当。 -
2015年設備導入(鍍金設備、排水処理設備)業務を担当。
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2017年TOTOアクアテクノ製造部に異動。
導入した設備の安定稼動に向けた業務を推進中。
法規制強化に先回りして、
排水処理システムを一新
北九州空港からほど近く、海と山に挟まれたのどかな場所に位置するTOTO小倉第二工場。
水栓金具のマザー工場として、これまで培ってきた高い技術力と最先端の生産技術・ノウハウを国内外の生産拠点へ展開してきました。
三瓶
私たちが働くTOTO小倉第二工場は、水栓金具や手すり、電気温水器等の主力工場として稼動しています。今回リニューアルした新棟は、一階が部品製造工程、二階と三階の一部が製品組立工程、三階の残りが事務所となっていて、めっき工程はその一階にあります。
そもそもめっき工程で何をするかというと、まずは製品の外観の仕上げ。部品を鋳造して研磨したあと、めっき工程で水栓金具ならではの美しい銀白色を作ります。もう一つの目的が、耐食性を高めて長持ちさせること。電気をつかって薄い金属の被膜を作るのですが、まず部品表面の汚れを除去してから、ニッケルめっきで腐食防止、クロムめっきで傷を防止します。その際、薬品を次の工程に持ち込まないようにするため、水で薬品を洗い流す必要があるのです。


高松 そうです。だからめっきを扱う場合には、生産設備と排水処理設備をセットで考えることが基本。もちろん以前から排水の浄化処理には気を遣っていましたが、旧来の設備が老朽化していたこともあり、めっき工程のシステム全体を一新することになりました。構想から考えると足掛け4,5年の大プロジェクトでしたね。
三瓶 その背景には、2014年に策定された「TOTOグローバル環境ビジョン」の実現という目標があります。また、工場排水の法規制は年々厳しくなる傾向にあるので、そこに先回りして対応していかなくてはという思いもありました。
めっき工程の排水は二種類。
それぞれ違うリサイクル方法を検討
排水を完全リサイクルするということですが、具体的にはどういった仕組みになっているのでしょう?
三瓶 まず、めっき工程から出る排水は、「水洗排水」と「廃液」の二種類に分かれます。水洗排水は、先ほど説明した通り、部品を水洗いする際に出る排水。廃液は、めっきする際に使う薬品を入れ替えるときに出るもの。性質が異なるものなので、それぞれ別々の排水処理と活用を行います。全体像を表したのが下記の図になります。

三瓶
一度水洗に使用した水は、その後イオン交換装置で純水化。原理は少し難しいのですが、簡単に説明すると、水に含まれている金属イオンをイオン交換樹脂に吸着させ、水素イオンや水酸化物イオンに変えています。
一方廃液は、酸とアルカリを中和させて沈殿物と上澄みの水に分離し、沈殿物は濃縮して脱水したあと産業廃棄物として処理し、セメント材に再利用されます。トイレの洗浄水に使うのは、その上澄み水の方ですね。