
工場排水は、もっとリサイクルできる!
浄化処理水の河川放流ゼロを実現する「水循環システム」誕生
<後半>
工場全体のリニューアルに伴い、めっき生産設備および排水処理設備を一新。排水の完全リサイクルを実現するTOTO小倉第二工場。前半では、二通りあるリサイクル方法のうち「水洗排水」の再利用についてご紹介しました。後半ではもう一方の「廃液」のリサイクルについて詳しくお聞きします。トイレの洗浄水に再利用できた裏側には、TOTOならではの技術が……?

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2002年TOTO株式会社入社
水栓技術部に所属し、1年半解析業務を経験後、現在まで約15年間、表面処理技術開発に従事。表面処理(めっき・塗装など)に関する技術開発、現場立ち上げ、国内外G会社の支援/指導、新規メーカー開拓等を実施。 -
2008年表面処理TLとして事業部内外の表面処理関連の課題解決に取り組んでいる。

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2012年TOTO株式会社入社
5年間水栓技術部に所属し、主に表面処理の技術開発を担当。 -
2015年設備導入(鍍金設備、排水処理設備)業務を担当。
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2017年TOTOアクアテクノ製造部に異動。
導入した設備の安定稼動に向けた業務を推進中。
TOTO製品だからこそ、
トイレの水に再利用できた
めっき工程から出る排水は、部品を水洗いする際に出る「水洗排水」と、めっきに使う薬品から成る「廃液」の二種類に分かれます。水洗排水は、イオン交換装置で浄水化して再び部品洗浄に再利用(前半参照)。
では、廃液はどのような道をたどるのでしょうか。
詳しい仕組みを教えていただけますか?
三瓶 めっきで使う薬品は定期的に全部入れ替えを行うのですが、その際に不要になった薬品を廃液と呼んでいます。廃液はまず、酸とアルカリを中和させて、沈殿物と上澄みの水に分けます。沈殿物はフィルタープレスで脱水して 塊にしたあと、産業廃棄物として引き取ってもらい、その後セメントとして生まれ変わります。


これがセメントの原料になる。
三瓶 もちろん河川放流しても害はないレベルには純水化できます。ですが、残念ながらこの上澄み水は塩分濃度が高いため、部品洗浄に適さないのです。これまでだと川に放流しても問題のない水質に戻してから放流していましたが、今回は当初から河川放流をゼロにしたいという想いがあったので、ならばトイレに使えないかということになりました。
トイレの洗浄水なら、塩分濃度が高くても問題ないということですか?
高松
いいえ! 塩分濃度が高い水を普通のトイレに使ってしまうと、実は色々な不具合が起こります。塩分が金属などの素材を傷めて、腐食させてしまう。私たちがそれでもトイレに利用できたのは、実はTOTOがそうした塩分濃度の高い再生水用に特別仕様のトイレを作っていたからなんです。
具体的に言うと、金属の上に樹脂のコーティングをして通常の金具よりも耐食性を高めています。実はその加工自体も、この工場のメッキ設備で行っているんですよ。
次の課題は「薬品」。
人にも環境にもやさしい工場へ
ここまで再利用が可能になると、めっき工程でできるエコはほぼ完了のように見えますが……次の目標は?
高松
水に関しては、確かに今できる最大限のリサイクルが実現できたかもしれません。でもまだ、ものづくりに使う薬品自体を環境にやさしいものに変えていくという使命があります。
実は化学薬品に関する法規制も年々引き上げられていて、海外では一部の薬品が日本よりも厳しく規制されている場合があります。そうした影響はじきに日本にも及びますので、対策は必須です。
高松
ものづくりに使う薬品を変えると、結局ものの性能に影響が出ます。代替品を使ってこれまでの性能を維持するためには、技術なり製造プロセスを刷新していかなくてはなりません。ときにはメーカーと共同開発したり、条件検討をしたり……まだまだやるべきことはたくさんあります。
また今回のリニューアルでは、排水処理システムだけではなく、臭気や熱気といった生産設備上の問題も多々改善しています。自然環境への配慮はもちろん、同時にそこで働く人の職場環境の整備もさらに進めていきたいですね。

ご自身の地元でもある九州の環境保護に、より一層意識が高まった。