新商品開発物語

2020年 秋号一枚のカウンターが、
リビング空間を変える。
ようこそ、光のキッチンへ。NEW THE CRASSO
シシステムキッチン「THE CRASSO」
「あ、明るい!」TOTOのショールームで「THE CRASSO(ザ・クラッソ)」のクリスタルカウンターをご覧になって、そうおっしゃるお客さまが多くいらっしゃるそうです。2016年の発売以来、「ノイズレスデザイン」でご好評をいただいている「ザ・クラッソ」をフルモデルチェンジ。さらに輝きを増したNEW「ザ・クラッソ」の開発を担当した3名のスタッフが、その思想と魅力、そして秘められた苦労について語ります。
取材・文/村上浩平
写真/山内秀鬼
TOTO株式会社 キッチン・洗面事業部 キッチン・洗面開発第二部 キッチン開発グループ
山野洋平
TOTO株式会社 キッチン・洗面事業部 キッチン・洗面開発第二部 キッチン開発グループ
大畑将吾
TOTO株式会社 デザイン本部 デザイン第一部 第一デザイングループ
山本友子
明るく清潔感あふれるクリスタルカウンター
クリスタルカウンターは、以前から評判がよいそうですね。
大畑将吾従来品でのアンケートで94%のお客さまにご満足いただけているという結果が出ているのですが、「清潔感がある」とか「明るさを感じる」というお声が多いですね。クリスタルカウンターの特長が、そういう評価につながっているのだと思います。
何が違うのですか。
大畑素材の中に気泡が入ることのないよう、特別な成形技術でつくってあります。だから透明素材のよさが生きてくる。これは非常に難しいことで、国内ではTOTOにしかできないんですね。
山野洋平まだ輸出はしていませんが、ショールームにいらっしゃった外国のお客さまが、このカウンターだけでも持って帰りたい(笑)とおっしゃっていました。デザイン面だけではなく、素材の特性として熱や衝撃に強く、汚れが染み込みにくく、ふき取りやすい。使い勝手も兼ね備えた、TOTOの自信作です。

クリアエッジ仕上げによるクリスタルカウンターの輝き

クリスタルカウンターに磨きをかけた
そのクリスタルカウンターが新しくなりました。
山本友子従来のカウンターは、後ろにバックガード、手前に水返しのついた形状でした。2016年にザ・クラッソが新登場したときにそれらを取り払って、ノイズのない一枚の薄い板のような形状にしたんです。
山野そして今回は、ノイズレスデザインを進化させようということで、カウンター下にあった影のように見える板材(スリットアングル)をなくして、思い切りシンプルなデザインに変えました。なかでも一番力を入れたのが、明るさ、清潔感の強調。クリスタルカウンターのよさをとことん生かす取り組みです。
大畑クリアエッジ仕上げといいますが、クリスタルカウンター(単色)の小口部分に面取りをして、磨き込みました。カット面から入った光が裏側の塗装面にあたって反射することで、エッジラインが輝きを放ちます。
山本世の中にあるさまざまな透過素材を調べて、仕上げを試してみました。どれが求めている明るさや清潔感に一番近づけるか。検証していくなかで、ようやくクリアエッジという手法にたどり着いたんです。
大畑小口の角度や幅をどうするか。それを見つけるのが大変でした。磨くだけでもものすごい手間ひまがかかるんですが、0.1㎜ 単位でバリエーションをつくり、そこに光をあてて確認する。そうした作業の繰り返しは気の遠くなるようなものでした。
ノイズレスデザインも進化
今回はフルモデルチェンジということですが。
山野3年半前にプロジェクトが立ち上がり、いったんゼロに戻すところから議論を始めました。日本の台所の変遷や競合との差別化、TOTOの強みなどのすべてを検証して、その結果として、あらためて従来の「ノイズレスデザイン」を受け継ぎ、それをさらに進化させること。そして各機能を徹底的に磨きあげることにしたのです。
日本の台所の変遷ですか。
山野日本の台所というのは、土間から始まってだんだん家の内部に移動してきました。そして現在では家族が集う生活空間の重要な部分となっています。実際、対面型のキッチンを選ぶお客さまがどんどん増えているのですが、単に調理の場ということではなく、生活の一部として、より明るい生活、ゆとりある暮らし、コミュニケーションを育む場にしていきたい、そう考えました。
「明るい」という言葉がまた出てきました。
山野濃い色の重厚なカウンターというのも世の中には結構ありますが、私たちはキッチンを明るく、清潔感のあるものにしたい。そして、何より家族の笑顔が似合う場所にしたいと思っています。
大畑クリスタルカウンターが、その明るいキッチンの核となるわけです。
ノイズレスデザインというのは。
山本生活空間を考えると、部屋の構造である柱と梁、水平垂直が基調になっています。その基調に合わせたデザインによって、空間にとけ込むキッチンにする。L型の水栓、シンクなどもオリジナルのデザインですが、使いやすさを追求しながらその場になじむ設計を目指しています。
主張しないデザインということですか。
山野家具でもドアノブでも、何か突出したものが見えると、妙に気になりますよね。家族が生活する、コミュニケーションしあう。その空間には、刺激的なデザインよりも、あくまでそこにあって自然な、心やすらぐデザインがふさわしい。TOTOはそう考えているんです。
山本最近では家具や電気製品などもシンプルで、落ち着いたデザインのものが主流になってきていると感じています。住空間の中では、個性の強いものがそれぞれ存在を主張すると、バランスをとることが難しくなってしまうからではないでしょうか。
なるほど。
山野今回、全体としては明るくシャープなイメージに仕上げたのですが、カウンターとキャビネットの一体感を向上させるなど、色合いや形状のまとまり感、美しさもとことん追求しています。
山本ご家族の好みやお部屋の仕様に合わせて選べるように、カウンターやキャビネットの色、素材を多彩に用意しています。
今回は扉の基材の厚みを統一することで、どの色、どの素材をお選びいただいても、同じイメージに仕上がります。さまざまな色、素材がきれいに納まるのもノイズレスデザインの特長といえるでしょう。
山野色は水栓にまでこだわっています。通常は鏡面のクロムめっきですが、今回は金属の質感を強調する「ブラッシュ加工」を施した、程よいツヤ感のニッケルとブラックが加わり、空間になじむ3タイプから選べるようにしました。
細やかな工夫を凝らしていますね。
山野フレーム類をなくし、取っ手もスリム化。またコンロの油とびを防ぐクリアパーティションに入れたグラデーションは、鍋などを目隠しする役割を果たします。そこまでやるのかという声もありましたが(笑)、これもノイズをなくす工夫のひとつです。
また、工場の生産ラインをすべて見直すなどして徹底的なコストダウンを図り、価格も従来水準を維持することができました。

使いやすさ機能もいちだんと向上
使い勝手やお手入れなどの機能面は。
山野収納は、キャビネットをカウンターの奥行きいっぱいまで広げて、従来品より引き出し1段分の面積を増やしました。また取り出しやすい上段によく使うものを置けるようにしています。
包丁、まな板から調味料に至るまで、ここにはこれを置けばいいんだと直感的にわかるようなしつらえにして、使いやすくしました。
調理がラクになりそうですね。
山野そのほかゼロフィルターフードecoは10 年間ファンのお手入れが不要(*)になって、さらにお手入れが簡単になりました。スクエアすべり台シンクも排水口に3つ目のすべり台(傾斜)を設け、排水目皿に抗菌(*)・防カビ(*)樹脂を採用することで汚れにくさが向上しました。
TOTO独自の「きれい除菌水」生成器もふくめ、清掃性でもみなさまにきっとご満足いただけるはずです。
*詳しい条件などはTOTOホームページやカタログをご確認ください。
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山野洋平Yamano Yohei
TOTO株式会社
キッチン・洗面事業部
キッチン・洗面開発第二部
キッチン開発グループ
やまの・ようへい/ 2004年にTOTO入社。システムキッチンの新商品開発および開発プロセスの構築に従事。17年より今回の新商品の企画立案などを推進。 -
大畑将吾Ohata Shogo
TOTO株式会社
キッチン・洗面事業部
キッチン・洗面開発第二部
キッチン開発グループ
おおはた・しょうご/2013年にTOTO入社。総合研究所にて人間工学を用いた研究開発に従事。19年からキッチン・洗面事業部。新商品ではクリスタルカウンターの開発を担当。 -
山本友子Yamamoto Tomoko
TOTO株式会社
デザイン本部
デザイン第一部
第一デザイングループ
やまもと・ともこ/2006年にTOTO入社。TOTOテクニカルセンターで、BtoBの販売施策などに従事。10年からデザイン本部。新商品では全体のCMFの企画・実装に携わっている。