
ようこそ、ポスト・リアルの見本市へ
ISH2021 TOTO特設サイト
2年に一度、ドイツのフランクフルトメッセで開かれるISH(International Sanitary and Heating)。
衛生設備や空調に関する世界最大の見本市が、今年はコロナ禍の影響でデジタル開催となりました。テーマは「衛生と清潔性」。7回目の出展となるTOTOは、この機会に、新たなデジタルコミュニケーションにチャレンジしました。制作グループのリーダー菊池康雄がそのねらいとちりばめた工夫をご紹介します。
TOTO株式会社 グローバル事業推進本部 グローバルプロモーション部企画主幹
グローバルプロモーション制作グループ グループリーダー
菊池康雄
コロナ禍のなかで
衛生と清潔へのこだわりを示す
今年、ISHはオンライン開催となったそうですね。
菊池康雄そうです。ISHは2年に一度、BtoBのプランマー(水道工事のマイスター)やディーラー、デザイナーのお客さまを対象に開かれるプロ向けの展示会ですが、2021年はコロナ禍で残念ながらデジタル開催となりました。TOTOは、ISH2021のイベントサイトに出展し、そこからリンクする特設サイトもつくりました。
テーマは、コロナ禍らしく、やはり「衛生と清潔」となったのですね。
菊池じつは、世界の水まわり機器メーカーのなかでもTOTOは、この衛生・清潔というところに創業時からこだわってきたユニークな会社かと思います。
下水道も完備されていなかった時代に、快適で衛生的な生活文化を普及させたいという想いから、日本で創業したのがTOTO。ヨーロッパの衛生環境と衛生陶器を知った創業者が「日本の近代化のために欠かせない」と始めたのが、衛生陶器づくりだったんです。最初から衛生・清潔を主眼としていて、100年間一途に、その進化に取り組んできました。
展示のコンセプトについてお聞かせください。
菊池「TOTO CLEANOVATION」(クリーン価値の革新と継続性を表す「CLEAN」と「INNOVATION」を組み合わせた造語)というコンセプトを掲げています。これはTOTOがグローバルに発信している共通の価値メッセージです。

菊池具体的には、コロナ禍の中欧米を中心に初めて温水洗浄便座に関心をもっていただいているお客さまに向けてウォシュレットで洗う快適さを伝える 「Let's wash with TOTO WASHLET」、
機能の連携でつねに清潔をたもつ「CLEANSYNERGY Technology & Design」、
このクリーンシナジーはウォシュレットや大便器、さらに手洗いや小便器と広がっています。
そしてコロナ禍のリクエストでもある手洗いやトイレ行為における非接触の衛生性、「The security of TOUCHLESS」。
自動水栓や大便器などに適用しています。
この3つをCLEANOVATIONを実現する価値として打ち出し、水まわり全体に広がるTOTOの「衛生・清潔」へのこだわりを描き出しました。
CLEANOVATIONの3つの価値



人の表情や言葉から伝わる内容を大切に
見本市というのは、お客さまと接触する場でもありますよね。
菊池リアルの見本市でも、もちろん展示方法や映像などさまざまなハード面の工夫をします。
でもやはり接客、フェイストゥフェイスのコミュニケーションで「ここがいいんですよ」と伝えるのが一番伝わると実感しています。そこでこの特設サイトでも、なんとか「人から伝える」手法を取り入れられないかと考えました。
サイトに入ると、まずMCが語りかけてきます。ウォシュレットの快適さからさまざまな先進技術、個々の機能まで、ていねいに身振り手振りと言葉で説明してくれるんです。
これはTOTOのISHを体験したBtoBのプランマーなどのお客さまが、その先のエンドユーザーの自身のお客さまに自分の言葉でTOTO商品をおススメしやすいように、ユーザー目線のベネフィットから機能の秘密までをわかりやすく伝えたいと考えました。
たとえば、ウォシュレットに対する「すごく自分がきれいになった感じがして爽快なんだ」「便座が温かいし、お湯で洗ってくれるから、もうとにかく最高よ」とか、「洗剤つけて、力を入れてゴシゴシしても便器の汚れが落ちなくて……」などといったユーザーの声にこたえるかたちで、MCが一つひとつ解説していきます。



リアルな現場を再現
触るように体験できるサイト
サイトの企画では何を目指しましたか。
菊池突然、展示会場がリアルの会場からオンラインに変わってしまいましたが、やはり新商品を会場で見て、自分の手で触れたいというお客さまの気持ちに違いはないと思いました。 プランマーやデザイナーなど欧州を中心にこの展示会を訪れる各国のお客さまを想像し、リアルからデジタル開催になったとしても、展示会に求めるニーズは同じであり、また、逆にデジタルだからこそできることもあるのではないか、と私たちは考えました。
どのように表現したのでしょうか。
菊池販売代理店の方やプランマーが商品を見るときは、まずいいデザインかどうか、そして丈夫さとか取り付けとかをチェックします。いわば、開けたり閉めたり、触りながら隅々まで商品実物をご覧になるんですね(笑)。
カタログやこれまでのウェブだと、商品紹介は写真一枚で終わりになりがちですが、お客さまがその商品をじっくり中まで触れているように見せられたらと思いました。
オンラインでも、触れるように感じていただこうというわけですね。
菊池はい。商品のシルエットを素材感ゆたかに表示し、360度ぐるりと見せた後、カメラが内部にはいり込む。そこに動きを伴ってノズルが出てくる。構造やディテールに加え、機能もその商品とセットの映像でスクロールにあわせて商品が動き、自ら操っているような感覚でわかりやすく紹介していきます。いろいろな角度からのデザイン、外から見えないメカニズムもぜひ知っていただきたかったのです。
PRODUCT







オンラインならではの試み
逆に、デジタルでしかできない工夫もありますね。
菊池バスルームデザインの紹介ページでは、欧州のインテリア設計会社による空間デザインをもとに、バーチャルなバスルームを3D空間でつくりあげました。空間内を移動しながら見ていく没入感と同時に、インテリアと商品の組み合わせを自在に変えて、たとえば、この空間に置くには丸い形の便器から四角い便器になるとどんな感じだろうと、楽しみながらシミュレーションすることができます。
同じ空間で商品を入れ替えることができるわけですね。
菊池便器だけではなく水栓や洗面器、バスタブなども同じインテリアのなかで入れ替えて見ることができる。水栓金具は色も変えられる。プロのデザイナーのお客さまからもお褒めの言葉をいただきました。
なるほど。
菊池発展途上な部分もあるとは思いますが、楽しみながら自然と商品に触れるような感覚で体験いただくことを目指しました。リアルな展示会にはない、デジタルだからこそできた部分かと思います。
RESIDENTIAL BATHROOM &
HOTEL BATHROOM PUBLIC RESTROOM & GUEST ROOM
360度を見渡せる3D空間。ナビゲーションをクリックすると商品が変化し、空間をシミュレーションすることができる。





見本市が終わってもさまざまな分野で
活用できるコンテンツに
とても充実した内容ですね。
菊池ありがとうございます。見たいところはサクサク探せる、その奥にはなるほどと納得する情報がつまっていることを目指しましたが、じっくり全部見たらかなり時間がかかるので、デジタル展示会の開催期間を思えばボリューム感があったかと思います。
展示会自体の開催期間は数日と限られています。でも、この特設サイトは、ISHの開催期間後も公開しております。BtoBのお客さまにビジネスの場でも是非ご活用いただきたいです。ご覧になったプランマーの方からは「ここで見たことを自分のセールストークに生かしてお客さんに勧められる」と、お褒めの言葉も頂戴しました。これはとてもうれしかったです。
初めての取り組み、試行錯誤の取り組みでしたが、この特設サイトを介してウェビナーなどTOTOとお客さまとの対話のきっかけや活用にもつながっていっています。
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菊池康雄Kikuchi Yasuo
TOTO株式会社 グローバル事業推進本部 グローバルプロモーション部企画主幹
グローバルプロモーション制作グループ グループリーダー
1996年にTOTO入社。デザイン本部、TOTO中国(上海)駐在、テクニカルセンターを経て、2016年より現職。
展示会、ショールーム、WEB、各種コンテンツ制作などの広くコミュニケーション・プロモーション分野の企画・制作に従事。
ISHは2009年の初出展から担当するのは4回目。