展覧会
TOTOギャラリー・間

ランドスケープの構造体 ドーモ(丸屋根)(米国、モンタナ州、ティペット・ライズ・アート・センター、2016)

2021年 夏号アンサンブル・スタジオ展
「Architecture of The Earth」会期/2021年6月24日(木)~9月26日(日)
休館日:月曜・7月22日(木)、23日(金)・夏期休暇[8月9日(月)~16日(月)]事前予約制(*)

*TOTOギャラリー・間ウェブサイト(https://jp.toto.com/gallerma)よりお申し込みください。

本展覧会は2021年6月8日(火)からの公開を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界的なコンテナ不足とスエズ運河座礁による海上輸送の混乱により、会期を変更いたします。

スペインとアメリカを拠点に活動を続ける建築家アントン・ガルシア=アブリルとデボラ・メサが主宰するアンサンブル・スタジオ。
地球規模の視点と自然と響きあうような力強い造形、独自の構法を軸に、建築の可能性を追求する彼らの、日本で初めての個展を開催。
会場では「地球」と「建築」の関係性の探究のなかから生まれたプロジェクトに焦点をあて、アンサンブル・スタジオ独自のリサーチ・設計・建設の過程を、模型や映像を通じて紹介します。

スペイン著作権協会本部(スペイン、サンティアゴ・デ・コンポステラ、2007)©Iwan Baan
トリュフ(スペイン、コスタ・ダ・モルテ、2010)©Iwan Baan

Architecture of The Earth

 建築は地球から生まれる。大地を構成する金属、鉱物、繊維、油、土が採掘され、結合され、変化する。大地から建築へ。何千年もの間、このプロセスは単純明快だった。木の幹が骨組みになり、泥がレンガになり、石が壁やアーチやドームになった。しかしそのような技術を用いて構築された建築は、いまやわずかな痕跡しか残されていない。時が経つにつれ、そのほとんどは崩壊し、水に侵食され、太陽に焼かれ、風に吹き飛ばされ、大地に揺さぶられた。過去100年の間に、建築を生み出すプロセスは最終的に「木を切り、小屋を建てる」というような直接的なものごとの連関ではなく、エネルギーを大量に消費し、ものごとが複雑にからまりあう構造になってしまった。そして多くの場合、原材料がわからなくなるほど変化してしまう。岩は薄いタイルになり、黒い石油は光沢のあるプラスチックになり、砂は透明なガラスになる。物質は産地から世界中に輸送され、多くの場合は枯渇するまで搾り取られつづけ、放棄され、別のものに置き換えられてしまう。私たち建築家は、設計上の判断が環境に深刻な影響を与える一方で、建築を形にするときに、「どのように地球そのものを再構築するか」という自分たちの力量を超えた大きな課題に注意を払うことは、ほとんどない。
「Architecture of The Earth」は、アンサンブル・スタジオがこの20年間に手がけた一連の研究や専門的なプロジェクトを紹介する。それらはすべて、異なる時期、場所で、異なる動機にもとづいて行われたが、建築と地球の関係、そして人間が環境に与えてきた影響について考えるのに役立っている。地形を読み解き、再び活用し、地面を補強し、あるいは型として使うスペイン、コスタ・ダ・モルテの「トリュフ」、アメリカ、モンタナ州の「ランドスケープの構造体」、スペイン、メノルカ島の「カン・テラ」などのプロジェクトは、自然の資源を無制限に搾取することなく、土地やランドスケープの自然の力を活かして構築され、相乗効果を生み出している。地質作用に学びながら原始的な施工方法が編み出され、新しい建築言語が見出される。地形から読み取った大地の論理を設計行為に結びつけながら、建築の新たな可能性を探し求める。先入観なしに、不完全さを受け入れ、人間の生活で求められることに感覚的に応える、新しい美の概念が現れる。
 TOTOギャラリー・間で開催される展覧会では、会場の各空間で、アイディアから実現化へ、そしてまたアイディアへ戻るループをたどりながら、現在も続き、終わることのない冒険として、展示のテーマ「Architecture of The Earth」が展開される。建設されたプロジェクト、されなかったプロジェクトが一堂に会し、さまざまな検討段階での考え方を示しながら、それぞれの敷地の枠を超えた幅広い議論の一部として、関係・影響・進化を明確に示している。模型や映像が組み合わされ、時間・空間・物質が一体となった全体的な経験を提供する。この展示に合わせて、同じタイトルの書籍が出版される。展覧会とともに、そして展覧会が終わった後も、より詳細なかたちで、展示を補完する考察やコンテンツを見ていただきたいと願っている。

ランドスケープの構造体 インバーテッド・ポータル(裏返された門)(米国、モンタナ州、ティペット・ライズ・アート・センター、2016)©Iwan Baan
ペトリファイド・リバー(石化した川)リサーチ(スペイン、コスタ・ダ・モルテ、2010)©Ensamble Studio
  • アンサンブル・スタジオの画像

    アンサンブル・スタジオ
    Ensamble Studio

    アンサンブル・スタジオは、2000年に設立され、建築家アントン・ガルシア=アブリル(1969年生まれ、写真左)とデボラ・メサ(1981年生まれ、写真右)が主宰する職能横断型チームである。彼らの作品はリサーチと実践のバランスをとりながら、ランドスケープの構築から住宅のプレファブリケーションといった多様な課題に取り組むために、タイポロジー、技術、方法論を刷新する。初期の作品から最新作まですべてのプロジェクトにおいて、彼らが扱う分野、そして社会における建築家の役割のさらなる進歩を目指して、実地実験を行っている。彼らの作品では、アート、科学、建設、開発とデザインとを連携させ、アイデアを最もよい方法で形に置き換える方法を探究している。
    近年ガルシア=アブリルはマサチューセッツ工科大学にて、メサはジョージア工科大学にて教鞭をとる。代表作に、「ランドスケープの構造体」(米国、モンタナ州、ティペット・ライズ・アート・センター、2016)、「カン・テラ(大地の家)」(スペイン、メノルカ島、2020)、おもな受賞としてRIBA チャールズ・ジェンクス賞(2019)などがある。
    ©Ensamble Studio