展覧会
TOTOギャラリー・間

淡路島の住宅(兵庫県、2018年) ©Shinkenchiku-sha

2020年 夏号 末光弘和+末光陽子/SUEP.展
「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち会期:2022年6月8日(水)~9月11日(日)
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日・夏期休暇[8月8日(月)~15日(月)]
事前予約制(*)

*TOTOギャラリー・間ウェブサイト(https://jp.toto.com/gallerma)よりお申し込みください。

自然の力を最大限受け入れながら、環境と共生する建築デザインを目指している建築家ユニット、末光弘和+末光陽子/ SUEP. (スープ)。
展覧会では、彼らが行ってきたリサーチや検証と、それらがどのようなかたちで建築の循環システムに結実してきたかが明かされます。
人間が地球の恵みを一方的に搾取するのではなく、自然との共生により豊かな恵みが続いていく、 そのために建築家として果たすべき役割は何か。
本展覧会を通して、彼らの思考と試行の全貌をご覧いただきます。

清里のグラスハウス(山梨県、2018年) ©Kai Nakamura
ミドリノオカテラス(東京都、2020年) ©Kai Nakamura
地中の棲処 温熱環境模型 ©Kai Nakamura

Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち

 2003年にSUEP.を立ち上げて以来、私たちは、一貫して地球環境をテーマにして建築の設計活動を行ってきました。地球温暖化による気候変動が進み、大規模な自然災害が頻発している現在、私たち建築家に何ができるのだろうか。大きなイシューを突きつけられていると感じています。
 この問題は、当然ながら一筋縄ではいきません。その理由の一つは、複雑な事物連関にあります。地球上には多くの異なる地域、民族、文化、歴史、気候、経済、宗教などがあり、それぞれに状況が異なります。一つで全てを解決するような処方箋は存在しません。複雑化した現在社会では、全ての事物は連鎖し、何か一つが変わると全てに影響するからです。もう一つの理由は、地球が動的であることです。地球の状況は刻一刻と変化しています。ある一瞬のために最適化しようとしても、次の瞬間には別の状況が起きてしまいます。このまま地球温暖化が進むと、現在、温暖地と寒冷地と半々に分布する日本においても、50年後には80%近くが温暖地になると言われています。
 50年後の九州は、今のベトナムと同じ気候になると言われているのですから、そうであれば今の建築の考え方だけではうまくいかないことは明らかです。
 これらのことを考えると、表層的なことでは解決はできないし、技術だけを追い求めていてもまた解決できないでしょう。私たちは、考え方を根っこから変えなければならないのだと思います。今、この母なる地球とどのように生きていくのか、その自然観こそが問われています。

レソラ今泉テラス(福岡県、2021年 日建設計と共同設計) ©Kai Nakamura
百佑オフィス 木の周りの環境ポテンシャル ©SUEP.
百佑オフィス模型(台湾、高雄市、進行中 RHTAAと共同設計) ©SUEP.

 展覧会のタイトルである“Harvest in Architecture”とは、自然の恵みを持続的に受け入れ、地球とともに生きるための建築の姿を取り戻そうとする概念です。“Harvest”とは、カラフル(多様)であり、ハピネス(喜び)であり、エネルギー(活力)のことです。それは、農耕のようなイメージでもあります。自然との関係を耕し、持続的な恵みを得ることで、そこに人が集まり、交流する場が生まれるイメージです。それらを実現するためには、自然のためだけでもなく、人のためだけでもない、自然と人とのバランスをデザインしなければならないのだと思います。
 本展覧会では、私たちがこれまでのリサーチ活動を通して考えてきたことを中心に、それが建築の実作にどう展開したのかを紹介します。リサーチの中で、自然の恵みを受け入れるための建築のかたちを発見してきました。私たちはそれをSEEDと呼んでいます。また、地球の循環を生み出すのは、大地であり地形です。これをLANDFORMと呼びます。私たちは、SEED(原型)をLANDFORM(地球上の循環)に植えることで実現するものとして建築を捉えます。これまでつくってきた建築の実作や現在進行中のプロジェクト、ギャラリー中庭での体験型展示を通して、SEEDがどのようにかたちで実現し、循環する環境の一部となりうるのか、この展覧会で伝えたいと思います。ぜひ、会場に足を運んで、体感してみてください。

  • 末光弘和+末光陽子 / SUEP.の画像

    末光弘和+末光陽子 / SUEP.
    Hirokazu Suemitsu + Yoko Suemitsu / SUEP.

    東京と福岡を拠点に国内外で活動する建築家ユニットSUEP.(スープ)。地球環境をテーマに掲げ、風や熱などのシミュレーション技術を用いて、資源やエネルギー循環に至る自然と建築が共生する新しい時代の環境建築デザインを手がけている。おもな受賞に第27回吉岡賞(2011年)、第29回芦原義信賞(2019年)、2018年度グッドデザイン賞金賞など。おもな作品に「淡路島の住宅」(2018年、兵庫県)、「九州芸文館アネックス1」(2013年、福岡県、日本設計と共同設計)、「ミドリノオカテラス」(2020年、東京都)など。現在「百佑オフィス」(台湾、RHTAAと共同設計)、「SOLSO FARMオフィス」(神奈川県、SOLSOと共同設計)などが進行中。
    すえみつ・ひろかず/1976年愛媛県生まれ。1999年東京大学卒業。2001年同大学大学院修了。2001~06年伊東豊雄建築設計事務所。2007年よりSUEP.主宰。2009~11年横浜国立大学Y-GSA設計助手。2020年より九州大学大学院准教授。
    すえみつ・ようこ/1974年福岡県生まれ。1997年広島大学卒業。1997~2003年佐藤総合計画。2003年にSUEP.を設立。 2018~22年昭和女子大学非常勤講師。
    ©Masatomo MORIYAMA