洗浄水量4.8L対応へ進化した「壁掛大便器セット・フラッシュタンク式」

連接用横引排水継手の新機構ご紹介

2025.8.25

TOTOが培った便器洗浄技術により実現した、パブリック向けの定番製品である「フラッシュタンク式大便器」。今回、壁掛大便器セット・フラッシュタンク式が新しくなりました。(2025年8月発売)
洗浄水量が6Lから4.8Lに削減され、さらに節水効果が高まりました。特に連接設置の多い大規模施設での節水に貢献します。この記事では、進化のカギとなった連接用横引排水継手新機構をわかりやすくご紹介します。

洗浄水量4.8Lに向けて

大便器の節水性能を向上させるには、「排出」と「搬送」の両性能を確保することが必要です。
まず、「排出性能」についてご説明します。排出性能とは、ボウル内をしっかりとした水勢で洗い流す能力を指します。特に利用者の多い大規模施設では、多数のお客様が絶え間なく使用するため、連続使用に耐えうる性能が求められます。また、維持管理や環境配慮の観点からは、少ない水量で洗浄を実現することが望まれます。
「壁掛大便器セット・フラッシュタンク式」では、この点についてジェットポンプ水流を用いた洗浄技術で達成しています。この技術は、タンク式大便器と同等の給水口径でありながら、フラッシュバルブ式と同様の連続洗浄を可能にします。洗浄後、約20秒で次の洗浄が可能です。

⇒ジェットポンプ水流の詳細記事はこちら

連接用横引排水継手の進化

続いて、「搬送性能」についてご説明します。「搬送性能」とは、便器から排出された汚物が排水管を通り立管や床抜き部まで押し流す能力を指し、排水管内を、エネルギーロスなく効率よく汚物を搬送することが重要です。
今回、「壁掛大便器セット・フラッシュタンク式(連接設置タイプ)」の搬送性能向上を目指し、新しい横引排水継手を開発しました。ここでは、その新機構をご紹介します。
連接時の配管では、横引配管の勾配や連接時の器具間寸法により、便器と配管の落差が生じます。これにより、設置便器ごとに異なる継手のバリエーションが必要となります。従来はこれに対応するためジャバラを使用していましたが、このジャバラに汚物が引っ掛かり、搬送能力のエネルギーロスとなっていました。
そのため新しい継手では、フランジの回転(角度調整取付)・合流管の回転による落差調整機構、フランジから横引配管までの距離を調整できる奥行調整機構、そして微妙な調整を可能にする可とう管の3つを組み合わせることで、ジャバラレス構造を実現しています。

流速が不足すると搬送不良の原因となり、逆に速すぎると水だけが流れて汚物が置き去りにされるリスクがあります。そこで、フランジから合流管までの合流角度に着目し、最適値を追求しました。その結果、ジャバラレス構造・エネルギーロス最小設計により、排水の流れが最適化され、より少ない水量でも効果的に 汚物を搬送できるようになりました。

新機構の効果

これらの新機構により、フラッシュタンク式大便器では、従来から洗浄水量4.8Lであった床置きタイプ(パブリックコンパクト便器 フラッシュタンク式)に加え、壁掛けタイプ(壁掛大便器セット・フラッシュタンク式)のすべてにおいて洗浄水量4.8L対応が可能となりました。
動画では新旧継手の比較映像にて効果をご紹介しています。水の流れをCAE解析と実験映像でご覧いただけます。映像では、継手内部の水流の乱れが格段に減少していることが確認できます。
また、その効果として、実際の設置において、例えば、配管長6.5m、曲り数2(推奨配管条件)で汚物を流す場合、4.8Lの洗浄水量での設置を可能としています。(洗浄水量6Lの場合は配管長10mまで対応可能)これにより、水まわりのプランニングや空間設計の自由度が向上し、施設の維持管理および環境配慮にも貢献します。

今後も、TOTOの商品における技術をご紹介していきます。施設では、ご紹介した技術の体感展示もございます。より詳しい情報は、テクニカルセンターご来場の際に、専用スタッフよりご説明させていただきます。またこのサイトへのご意見ご要望がありましたら自由にご記入ください。

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