腰掛便器が当たり前になった日本ですが、今でもなじみのないものに「ビデ」があります。
「ビデ」は、18世紀初頭にフランスで誕生しました。当初は、木製の細長い形のタライに脚をつけたもので、これにまたがって局部を洗っていたので、子馬を意味するフランス語の「ビデ(bidet)」と名付けられました。
「ビデ」は用便後の肛門の洗浄、女性の小用後や生理時の局部洗浄、足洗い、足湯にも利用できるので大変重宝され、世界中に広まりました。しかし日本では、東洋陶器(現TOTO)が大正期に商品化したにも関わらず、住宅に設置されることはほとんどありませんでした。
その理由として、1つは、日本の住宅には大便器の横に「ビデ」を設置するだけのトイレスペースがなかった。2つ目は、日本人には手を使って局部を水洗いする生活習慣がないこと。でした。
この2つの問題を解消し、日本で「おしりを洗う」という新しい生活スタイルを定着させたのが温水洗浄便座でした。
1980年に東陶機器(現TOTO)が「ウォシュレット」を発売。「おしりだって洗ってほしい」のキャッチコピーにのって世の中に広く知られることになりました。
便座に「ビデ」と同様の洗浄機能を付加したことで、ビデが日本で根付かなかった原因であるトイレスペースの問題を解消しました。もう1つの原因であった「手を使って洗う」ことに対する抵抗も、手を使わずおしりや局部を洗うことが可能になったことで世間に受け入れられるようになりました。