特集

2022年 夏号

プロトタイプの野心 NEXT PROTOTYPES

すべての人に質のよい住宅を。
住宅を量産することは、人類にとってのひとつの目標でもあった。
近代の技術はその可能性を感じさせ、プレファブリケーションによる建築生産の萌芽が生まれた。
日本においても戦後の深刻な住宅不足が量産に取り組むことで解消した歴史がある。
その際、一つひとつの住宅をすべてゼロから考えるのではなく、量を担うためのプロトタイプ(標準)が力をもった。
今は、むしろ住宅は飽和している時代だが、現代建築家のプロトタイプへの取り組みが目立っている。
なぜか。デジタル技術の飛躍的な向上が、新たなプロトタイプの門戸を開いたのか。
リノベーションに適したプロトタイプが出てきたということなのか。
未来の住宅生産を担おう、という野心あるプロトタイプを紹介していく。

表紙/「クロスオーバーハウス」の模型。
表紙撮影/桑田瑞穂

  • プロトタイプの野心‑ インタビュー -新しいプロトタイプに向けて

    権藤智之

  • プロトタイプの野心‑ CaseStudy#1 -大量生産と一品生産の狭間

    作品/「NESTING 0001」
    設計/VUILD

  • プロトタイプの野心‑ CaseStudy#2 -工業製品を駆使した洋館

    作品/「モリスハウス」
    設計/渡邊大志

  • プロトタイプの野心‑ CaseStudy#3 -フィンランド流の住宅を量産

    作品/「クロスオーバーハウス」
    設計/渡邊大志

  • プロトタイプの野心‑ CaseStudy#4 -あらゆるモクチンがプロトタイプ

    作品/「2020/はねとくも」
    設計/CHAr

2022年 春号

主屋を変革する増築 Innovative Extension

誰かが五・七・五の上の句を詠んだ後にまた別の人が七・七の下の句を詠む。そしてさらに別の人が上の句を付け加えるというように、人を変えながら、言葉がつながっていく連歌。どう下の句を詠むかによって、上の句の感じ方がすっかり変わる。それと同じように、過去の人から受け継いだ建築に、新たに増築をするとき、主屋の建築のあり方を生まれ変わらせるようなアイデアがある。ただの機能の付け足しではない、既存の建築を変革するような増築を特集する。

表紙/「始めの屋根」の近景。
表紙撮影/桑田瑞穂

  • 主屋を変革する増築‑ インタビュー -上の句の主屋と下の句の増築

    宮城島崇人

  • 主屋を変革する増築‑ CaseStudy#1 -光の軀体が主屋を明るく

    作品/「O project」
    設計/宮城島崇人

  • 主屋を変革する増築‑ CaseStudy#2 -異質な半月型のホールを取り付ける

    作品/「家と庭と代(しろ)」
    設計/村山 徹+加藤亜矢子

  • 主屋を変革する増築‑ CaseStudy#3 -主屋と庭のあり方を変える「あわい」

    作品/「始めの屋根」
    設計/増田信吾+大坪克亘

  • 主屋を変革する増築‑ CaseStudy#4 -RC造と鉄骨造に木造で増築する

    作品/「代々木の渡廊(わたろう)」
    設計/平井 充+山口紗由

2022年 新春号

植物と建築の融合 The Fusion of Greenery and Architecture

コロナ禍で家にいる時間が長いと、庭やまわりの風景に目がいった人も多いのではないか。1年のあいだに建築はそれほど変わらないが、植物は次々と変化していく。植物は、まるで時の経過を示すシグナルのようだ。植物を介して建築の表情の変化を感じることもある。やはり「建築は竣工とともに完成するのではない」という想いがある。使われている期間にも建築は変化しつづけているのだ。経年変化もするし、増築も減築もあり、設備や家具も入れ替わる。植物も、その変化のひとつ。植物は生物なのでもちろん変化するが、それとともに建築の表情も変わっていく。竣工直後の写真では描写しきれない、建築と植物の時を経た連携を特集する。

表紙/「天神山のアトリエ」の夕景。
表紙撮影/藤塚光政

  • 植物と建築の融合‑ CaseStudy#1 -植物×アトリエ
    植物が五感を刺激する

    作品/「天神山のアトリエ」
    設計/藤野高志
    植栽/太田敦雄

  • 植物と建築の融合‑ CaseStudy#2 -植物×集合住宅
    自然と街の記憶が宿るよりしろ

    作品/「Overlap House」
    設計/平田晃久
    植栽/塚田有一

  • 植物と建築の融合‑ CaseStudy#3 -植物×住宅
    植物との共生にリアルに向き合う

    作品/「森のすみか」
    設計/前田圭介
    植栽/荻野寿也

  • 植物と建築の融合‑ CaseStudy#4 -植物×オフィスビル
    造園を通して地域とオフィスをつなぐ

    作品/「LIGUNA/0」
    設計/川原田康子+比嘉武彦
    植栽/湊 眞人

2021年 夏号

個室の復権 Return of the Private Room

人がひとりで過ごすための場を考えたい。建築家は、人同士のコミュニケーションが豊かになるための空間にさまざまなアイデアを提案してきているが、一方で、人はひとりで過ごす時間も長い。
何かに集中するとき、没頭したいことがあるとき、あるいは瞑想するときもあるかもしれない。
そして、このコロナ禍においては、リモートワークが進み、ソーシャルディスタンスも促されている。否応なく人と交わらない生活の渦中に立たされ、この災禍において「個室」の意義を再検討したいと考えさせられた。
人間がひとりになる場所としての「個室」をどうとらえるのか。上記の想いを投げかけ、複数の建築家たちに「個室」を計画していただいた。

表紙/常山未央さんと能作文徳さんによる「身の丈の部屋」。

  • 個室の復権‑ 提案01 ‑身の丈の部屋

    建築家/常山未央+能作文徳

  • 個室の復権‑ 提案02 ‑LDK+200C

    建築家/YSLA Architects

  • 個室の復権‑ 提案03 ‑あざみ野の土

    建築家/Eureka

  • 個室の復権‑ 提案04 ‑緑地と家

    建築家/増田信吾+大坪克亘

  • 個室の復権‑ 提案05 ‑Nesting

    建築家/秋吉浩気+長岡勉

  • 個室の復権‑ 提案06 ‑あなたとの距離、わたしの個室

    建築家/宮原真美子+中島弘陽

  • 個室の復権‑ 提案07 ‑個室でみる夢

    建築家/大室佑介

  • 個室の復権‑ 提案08 ‑上原のすまい

    建築家/金野千恵

  • 個室の復権‑ コラム ‑個室をめぐる生活者の想像力/創造力

    山本理奈

2021年 春号

建築家のもうひとつの仕事 Architects’ Other Work

建築家が、建築設計以外の仕事にチャレンジすることが増えてきた。
たとえば、家具や建具を別の建築家向けに販売したり、設計事務所にカフェを併設して街との接点を生んだり。
あるいは、土地と建物に自らお金を出し、オーナーを兼ねて商業施設や集合住宅を設計することもある。
これらは、設計業を存続していくための経営上のサバイバルの方策でもあるが、設計のクリエイティビティを外部から刺激する動力としても働くのではないか。
建築家たちの「もうひとつの仕事」を紹介する。

表紙/「戸戸」の木のドアノブ。
表紙撮影/桑田瑞穂

  • 建築家のもうひとつの仕事‑ 対談‑建築に対するもうひとつのアプローチ

    藤田雄介×寳神尚史

  • 建築家のもうひとつの仕事
    ‑ CaseStudy#1‑
    小さなまちづくりを積み重ねる

    作品/「terrace H」
    建築家・ディベロッパー/寳神尚史

  • 建築家のもうひとつの仕事
    ‑ CaseStudy#2‑
    建具を介して思想を届けていく

    「戸戸」
    建築家・建具屋/藤田雄介

  • 建築家のもうひとつの仕事
    ‑ CaseStudy#3‑
    まちの拠点となるカフェ

    作品/「FUJIMI LOUNGE」
    建築家・カフェ店長/菅原大輔

  • 建築家のもうひとつの仕事
    ‑ CaseStudy#4‑
    つくり手の想いを届ける道具店

    作品/「こいずみ道具店」
    建築家・道具店店主/小泉 誠

2021年 新春号

藤塚光政の写真術を読む Fujitsuka Mitsumasa’s Photos

「写真は説明ではない」と断言する写真家の藤塚光政さん。
建築を撮影するとき、竣工までの幾多の営為の所産をできるだけ説明しようと、あれもこれも入れたくなることがある。
しかし、それが本当に伝わる写真になっているとは限らない。
ひとりの人間が想いを込めてシャッターを切ったとき、一見主観的な写真が生まれそうではあるが、むしろ、そうした強い意志が内包された写真にこそ、情緒すらも感じさせる伝達力があるのではないか。
毎日デザイン賞特別賞の受賞を契機に、建築の本質を射抜こうとする藤塚さんに写真術を聞いた。
渾身の住宅写真とともに紹介する。

表紙/藤塚光政さんとカメラ(Canon VL)。
表紙撮影/川辺明伸

  • 藤塚光政の写真術を読む
    ‑ インタビュー ‑
    僕の見方、そして撮り方

    インタビュー/藤塚光政

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真01‑

    作品/「焼津の住宅2」
    設計/長谷川逸子

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真02‑

    作品/「反住器」
    設計/毛綱毅曠

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真03‑

    作品/「塔の家」
    設計/東 孝光

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真04‑

    作品/「住吉の長屋」
    設計/安藤忠雄

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真05‑

    作品/「北嶺町の家」
    設計/室伏次郎

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真06‑

    作品/「Plastic House」
    設計/隈 研吾

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真07‑

    作品/「ダブルハウス」
    設計/ウィリアム・メレル・ヴォーリズ

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真08‑

    作品/「森山邸」
    設計/西沢立衛

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真09‑

    作品/「トレッドソン邸」
    設計/アントニン・レーモンド

  • 藤塚光政の写真術を読む‑ 写真10‑

    作品/「低過庵」
    設計/藤森照信

2020年 秋号

変容する住宅たち Transforming Houses

古くてよい住宅を継承する機会に恵まれたら、建てられた当初の考えを尊重して、やはり住まいとして引き継ぎたいと思うだろう。
だがそれが難しいケースもある。
たとえば戦前の大邸宅や気鋭のコンセプトでつくられた住宅を引き継いでも、それを簡単に住みこなせる人は多くはない。用途を変えるなど、新たな所有者やそのときの状況に合わせた生かし方があるはずだ。
しかしそれでも住宅であったことをなかったことにはしたくない。
変容する住宅たちは、その葛藤のなかで時には揺れながらも、住宅遺産を確かに次代につないでいる。

表紙/「本野精吾邸」の古写真およびケーススタディ4点。
所蔵(古写真)/京都工芸繊維大学美術工芸資料館(AN.5343-140)

  • 変容する住宅たち‑ CaseStudy#1‑別荘のままでありつつも、開かれていく住宅

    作品/「谷川さんの住宅」
    設計/篠原一男

  • 変容する住宅たち‑ CaseStudy#2‑新たに茶室を備えた洋館

    作品/「歡歸荘+也無庵(かんきそう+やむあん)」
    設計/白井晟一
    改修/吉野 弘

  • 変容する住宅たち‑ CaseStudy#3‑建築設計事務所になったコンクリートブロックの家

    作品/「本野精吾邸(現・木村松本建築設計事務所)」
    設計/本野精吾

  • 変容する住宅たち‑ CaseStudy#4‑企業の会員制オフィスになった都心の大邸宅

    作品/「山口萬吉邸(現・九段ハウス)」
    設計/木子七郎
    改修/竹中工務店

2020年 春号

分解、そして再構築 Disassembly + Reassembly

たとえば和風、洋風、さらには数寄屋風、プロバンス風、和モダンなどといった、家全体に対するイメージがある。
そういったイメージが共有されることによって、家に住む人も、建てる人も、どんな建物をつくりたいのかを具体的に想像しやすくなり、時には社会的な意味を伴い、生産の効率も向上するのかもしれない。
一方で新しいものをつくろうとしたとき、あるいはひとつの視点では解決できない個別の条件が重なったときに、そういった従来の全体像にとらわれない住宅が求められることもあるはずだ。
とかく社会のあり方や価値観が変わりつづけるなかで、一度既成の全体像を分解して、個々の状況に真摯に対応したミクロな部分を積み重ね、いまだ見ぬ不可視の全体に向けて再構築していくような建築のつくり方もあるのではないか。一度、分解してから考えてみる。

表紙/「門脇邸」のリビング・ダイニング。
表紙撮影/桑田瑞穂

  • 分解、そして再構築‑ 座談会‑なぜバラバラなのか

    古澤大輔、米澤 隆、門脇耕三

  • 分解、そして再構築‑ CaseStudy#1‑統一感不要、
    あえてのバラバラ建築

    作品/「門脇邸」
    施工/門脇耕三

  • 分解、そして再構築‑ CaseStudy#2‑柱、梁、床、そして階段などのエレメントへ分解

    作品/「古澤邸」
    設計/古澤大輔

  • 分解、そして再構築‑ CaseStudy#3‑母屋(オ)離れ(ハ)土間(ド)小屋(コ)の融合体

    作品/「オハドコの家」
    設計/米澤 隆

2020年 新春号

残す、大工の技術 Passing on craftsmen’s skills

大工が減っている。
1995年に76万人いた大工の人口は、2030年には21万人になるといわれている。
プレカット技術の発展により、機械生産でつくられる木造建築が増え、大工仕事が必要な、数寄屋をはじめとする伝統建築の需要が減った。
しかし、画一化できない鍛錬の末の技や、木に対する経験は、人の手のうちにまだ確かに残っている。
木のくせを目利きし、精緻に刻み、組み上げる。大工になるには、時間がかかる。
現代の大工たちは、どのような想いでその技術を紡いでいるのだろうか。
使われなければ残らない、大工技術。継承のあり方を考える、建築家や大工たちに話を聞いた。

表紙/水澤工務店の棟梁・壺屋健二さんの手と鉋。
表紙撮影/川辺明伸

  • 残す、大工の技術‑ CaseStudy#1‑45年を経た、
    大工技術の「写し」

    作品/「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館游心亭」
    施工/水澤工務店

  • 残す、大工の技術‑ CaseStudy#2‑とことん、
    木の扱い方を伝える

    作品/「杉の井 穂濤・離れ」
    設計・施工/オークヴィレッジ

  • 残す、大工の技術‑ CaseStudy#3‑ふたつの茶室を、
    二世代でつくる

    作品/「島津山の茶室」
    施工/鯰組

  • 残す、大工の技術‑ CaseStudy#4‑あえて大工の
    ディテールだらけ

    作品/「大津百町スタジオ」
    設計/竹原義二
    施工/谷口工務店

  • 残す、大工の技術‑ CaseStudy#4+1‑竹原義二との構造設計術

    構造家/下山 聡

2019年 夏号

借景 家のまわりも家の中 Bringing the landscape into the house

円通寺の縁側から、庭の垣根越しに比叡山が見える風景のように、昔から借景は、建築の質を上げてきた。それは現代の住宅にとっても同じだろう。周囲の景観を取り込めば、単体の魅力だけでなく、その土地の力を得た建築になるのではないか。しかし、どこにでも借景たりうる豊かな自然があるわけではない。自然があったとしても、それを取り込むには工夫が必要なこともある。
一方で、街中だからといって内に閉じこもらない、開かれた住宅が求められている。せっかく開くのならば、借景を取り込みたい。では、何を借景と見立てるのか。山や海のみならず、空か、地面か、あるいは隣家の壁か。借景の力をあらためて振り返るとともに、その現代的な工夫に注目していく。

表紙/上から「桃山ハウス」「川」「Todoroki House in Valley」「Casa O」の借景。
表紙撮影/上から川辺明伸、傍島利浩、Yuna Yagi、桑田瑞穂。

  • 借景‑ CaseStudy#1‑山の木々も、家の一部

    作品/「桃山ハウス」
    設計/中川エリカ

  • 借景‑ CaseStudy#2‑借景の柳と、
    坪庭のヒメシャラの協奏

    作品/「川(せん)」
    設計/横内敏人

  • 借景‑ CaseStudy#3‑庭の木と、
    隣地の木の融合

    作品/「Todoroki House in Valley」
    設計/田根 剛

  • 借景‑ CaseStudy#4‑隣家すらも、借景に

    作品/「Casa O」
    設計/髙橋一平

  • 借景‑ コラム‑借景論 
    緑ばかりが借景ではない

    文/橋本 純

2019年 春号

客を招く間取り Designing Floor Plans for Visitors

家の間取りは多様化している。特徴的な間取りが次々と現れ、人の生き方や暮らし方の多様さを反映しているかのようだ。一方で住まいの歴史を振り返ると、間取りには基本形があり、とりわけ座敷や応接間などの接客のスペースは、住宅の要でもあった。その接客のスペースが、あまり見られなくなってきている。それが現代のライフスタイルの潮流だとしても、まだ絶えたわけではない。これから先、家を開き、社会との接点を住宅に求めるならば、接客文化から得られるヒントもあるにちがいない。では、接客のためには、どのような建築をつくればよいのか。座敷や応接間などの基本形は大切だが、それだけではない。新しい試みも含めて、客を招く間取りを特集する。

表紙/「あきるのシルバーハウス」の土間
表紙撮影/桑田瑞穂

  • 客を招く間取り‑ インタビュー‑忘れられた客間―
    接客の間取りを振り返る

    建築史家/内田青藏
    写真/山内秀鬼
    聞き手・まとめ/大井隆弘

  • 客を招く間取り‑ CaseStudy#1‑ぐるぐるまわって、
    屋上に茶室

    作品/「house h」
    設計/大西麻貴+百田有希

  • 客を招く間取り‑ CaseStudy#2‑裏庭が、客を招く
    入口になった

    作品/「あきるのシルバーハウス」
    設計/能作淳平

  • 客を招く間取り‑ CaseStudy#3‑個人のスペースを
    しぼり、来客のために
    町家を開放

    作品/「新釜座町の町家」
    設計/𩵋谷繁礼

  • 客を招く間取り‑ CaseStudy#4‑1階は、まるまる
    客間でもある

    作品/「街の家」
    設計/増田信吾+大坪克亘

2019年 新春号

アジアで設計するということ Japanese Architects on the Asian Scene

今、新しい世代の建築家たちが、海外での活動に果敢に挑戦しています。世界的に名の知れた建築家が招かれて設計を行うのとは異なり、現地に溶け込み、切り開いていく方法です。とくに、彼らが注目しているのはアジア。言葉や文化、技術の隔たりをまのあたりにしながらも、なぜ海外での設計に挑みつづけているのでしょうか。彼らはみな、「アジアは近い」と口を揃えて言います。日本に拠点をもちながら、軽やかにアジア各国で活躍する、4組の建築家に、現地への飛び込み方を語ってもらいました。

表紙写真/アジアで活躍する4組の建築家。
写真左上・川辺直哉、右上・岩元真明、左下・佐伯聡子+K.M.Tan、右下・佐藤研吾
表紙撮影/写真左上・川辺明伸、右上・遠藤秀一、下2点・山内秀鬼

  • アジアで設計するということ
    ‑ エッセイ‑
    建築家たちは
    なぜ移動するのか
    攪乱、顕示、
    共生するたくましさ

    文/村松 伸

  • アジアで設計するということ
    ‑ CaseStudy#1‑
    ニューヨークで出会った中国人建築家に誘われて

    作品/「マイナスKハウス」
    設計/佐伯聡子+K.M.Tan/KUU

  • アジアで設計するということ‑ CaseStudy#2‑カンボジアの
    建設事情の調査から
    始まった

    作品/「TAMASA」
    設計/川辺直哉

  • アジアで設計するということ
    ‑ CaseStudy#3‑
    ベトナムの
    ローテックに
    先進性をみて

    作品/「ニャチャンの住宅」
    設計/ヴォ・チョン・ギア+岩元真明

  • アジアで設計するということ
    ‑ CaseStudy#4‑
    インド・
    シャンティニケタンの
    学校を訪ねて

    作品/「シャンティニケタンの家」
    設計/佐藤研吾

2018年 夏号

移築のすすめ Hints for Relocating

想い入れのある建物を残したいと思っても、その土地での開発計画など、時には同じ場所では残せない事情がある。そんなとき、やむをえず建物をこわす以外にも、検討したいのが、「移築」という道。 木造は、一度解体しても、また別の場所で組み立てることができるため、昔から日本では、移築が行われてきた。それは今でも実践されており、さまざまな記憶や技術の継承に役立っている。既存の建物を生かすことが求められる時代だからこそ、忘れられかけている「移築」という選択肢を見直したい。新しい手法にも注目し、現代における「移築」の可能性を考える。

表紙/「玄孫」の外観。
表紙撮影/藤塚光政

  • 白井晟一の「顧空庵(こくうあん)」移築録

    移築のすすめ- interview白井晟一の「顧空庵(こくうあん)」移築録

    移築の設計者/白井晟一建築研究所 白井原太
    解体した人/風基建設・代表 渡邊 隆
    解体した人/風基建設・「顧空庵」担当の現場監督 小倉英世

  • ビルの狭間にたたずむ古い蔵

    移築のすすめ- CaseStudy #1ビルの狭間にたたずむ古い蔵

    作品/「玄孫」
    設計/大角雄三

  • 瓦屋根を、クレーンで移設

    移築のすすめ- CaseStudy #2瓦屋根を、クレーンで移設

    作品/「筑西の住宅」
    設計/伊藤 暁

  • 時の厚みを感じる、モノの集まり

    移築のすすめ- CaseStudy #3時の厚みを感じる、モノの集まり

    作品/「筑西の住宅」
    設計/伊藤 暁

  • 移築、曳家、新築の組み合わせ

    移築のすすめ- CaseStudy #4移築、曳家、新築の組み合わせ

    作品/「石神の家」
    設計/増田啓介+増田良子

2018年 春号

入れ子の家
─ 壁を並べ、屋根を重ねる Double Housing

箱の中に箱、そしてさらに箱。入れ子というと、やや観念的な印象を受けるかもしれない。しかし、実用的なところもあるのではないか。内側の箱は、外側の箱に守られているから、時には暖かくもなるし、プライバシーの確保にもつながる。壁がふたつあれば、たとえば厚い断熱層と薄いシームレスな境界とに、役割を分けることもできるだろう。今までひとつだったものを分けてみることで、新しい表現や、多様な住まい方が見出せるのではないか。強い幾何学的な形式にとらわれることなく、素直に入れ子のメリットを考えてみたい。

表紙/「オフセット町家」の断面図。

  • それぞれの箱の役割を分ける

    入れ子の家 ― 壁を並べ、屋根を重ねる- interviewそれぞれの箱の役割を分ける

    青木弘司+能作淳平
    司会・まとめ/伏見 唯
    写真/山内秀鬼

  • 壁の中に生まれた空間

    入れ子の家 ― 壁を並べ、屋根を重ねる- CaseStudy #1壁の中に生まれた空間

    作品/「伊達の家」
    設計/青木弘司

  • 地域コミュニティを、屋内に誘う

    入れ子の家 ― 壁を並べ、屋根を重ねる- CaseStudy #2地域コミュニティを、屋内に誘う

    作品/「ハウス・イン・ニュータウン」
    設計/能作淳平

  • 古い町家の中に、新しい小町家を挿入

    入れ子の家 ― 壁を並べ、屋根を重ねる- CaseStudy #3古い町家の中に、新しい小町家を挿入

    作品/「オフセット町家」
    設計/大井鉄也

  • 小屋の上に、大屋根をかける

    入れ子の家 ― 壁を並べ、屋根を重ねる- CaseStudy #4小屋の上に、大屋根をかける

    作品/「雨やどりの家」
    設計/三宅正浩+吉本英正

2018年 新春号

建築家の自邸も、リノベーション Even architects renovate their homes

住宅のストックが5,000万戸を超えるといわれ、人口も減少している日本では、建築家の仕事として改修が増え、注目されつづけている。そのようななか、建築家の自邸も、リノベーションによるものが散見されるようになってきた。建築家にとって自邸は、自身の建築思想を色濃く反映させることができるチャンスであり、時には代表作として建築史上に残る名作にもなる。その自邸も、新築ではなく、リノベーション作品に。まさに現代らしい、ひとつの潮流なのではないか。

表紙写真/「Gray」の壁面。
表紙撮影/傍島利浩

  • 工場のスケールを人間のスケールへ

    建築家の自邸も、リノベーション- CaseStudy #1工場のスケールを人間のスケールへ

    作品/「白金の家」
    設計/團野浩太郎+團野沙知子

  • 寝室は徒歩3分

    建築家の自邸も、リノベーション- CaseStudy #2寝室は徒歩3分

    作品/「はなれのはなれ」
    設計/井原正揮+井原佳代

  • ラフなものこそ、ラグジュアリー

    建築家の自邸も、リノベーション- CaseStudy #3ラフなものこそ、ラグジュアリー

    作品/「Gray」
    設計/浅子佳英

  • マンションの最上階に、天空の平屋

    建築家の自邸も、リノベーション- CaseStudy #4マンションの最上階に、天空の平屋

    作品/「杉並の家」
    設計/永山祐子

  • 鉄のフローリングに住む建築家

    建築家の自邸も、リノベーション- CaseStudy #5鉄のフローリングに住む建築家

    作品/「広島の家」
    設計/谷尻 誠

  • 築40年が、まるで新築

    建築家の自邸も、リノベーション- CaseStudy #6築40年が、まるで新築

    作品/「YS BLD.」
    設計/青木 茂